LOVEPAIN③
「もしかして、コウジロウさん?!」
『コウジロウ?
誰だよそれ?!』
電話の声はそう笑っている
私のそれに乗っかって、コウジロウだけど、と言わないって事は、
詐欺じゃないのだろうか?
『お前の薄っぺらい人生で、
今迄会った中で一番カッコイイ男を思い浮かべてみて?』
私が今迄会った中で、一番カッコイイ男性――
成瀬だと言いたいが、違う
「もしかして、ナツキさんですか?」
『もしかしなくても、そうだし。
手間取らせんなって』
相手が誰かと分かると、その声も口調も、
紛れもなくナツキのものだと分かる