LOVEPAIN③

成瀬は落ち着いて来ると、
早く会社に行かないと、と言って、車を発進させた




「――あのイタリアンの店、ガキの頃、よく父親に連れて行って貰った。
父親のお気に入りの店で。

父親となっちゃんと俺との三人も有れば、
父親と俺と、和真さんと。

もしかしたら、和真さんも父親と自分の母親との三人で、よくあの店に行ってたのかも。

あの人にとったら、家族の思い出の店なのかもしれない。

俺は、単純に美味い店だな、くらいの思い入れしかないけど」



「そうなんですね」



帰りの道中、成瀬から聞いたその話



だから、和真があの店に居た成瀬を、酷く怒ったのか、と思った



“――もう二度とこの店に来るなよ。
この場所にお前が居る事が、許せないんだよ。
――”


でも、そんな風に怒られる、謂われなんてないのに




成瀬にだって、本当はあの店は特別な場所だったんじゃないのかな、と思ってしまった




だけど、そんな大切な店に、
中途半端な関係の私なんか連れて行かないか、とも思うけど





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