ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
*君が好きなのは?
夏の日差しが強く降り注ぐこの部屋が、ピアノの柔らかな音で満たされる。





グランドピアノの下、寝息を微かにたてて眠るフィーネの白が黒に映えて綺麗だと思わずにはいられない。





共働きの両親は、家にいることが少ない。





小学校高学年の頃、捨てられていたフィーネを見つけた。


学校でも家でも孤独感を感じていた俺にとって、フィーネの存在は光だった。





ずっと一緒にいた。どんな時も。


フィーネと、ピアノさえあれば何もいらない。





例え他のやつらが俺を、独りだと思っていても、...





架「呼ばれてないけど突撃訪問ドーーーン!!!」




里「同じく呼ばれてないけどドーーーン!!!」




「...不法侵入(ボソ」




悠「涼依さんごめんなさい。俺じゃ止められません」





突然大きな音をたてて開いたら扉と騒がしい2人の声に、フィーネが部屋の端に逃げる。





架「おぉ、これがピアニストの部屋」




里「涼依の部屋は隣だよ。行く?」




架「行きます行きます!」




悠「ちょ、架月、里苑さん、勝手に...」




「里苑」





部屋を出ていこうとした里苑を呼び止めると、ぴたりと動きを止めた。





知らないうちにまた声が低くなっていたようだ。


おかげでよく怖がられる。仕方ないのだけれど。





里「そ、そんな怒んないでよ涼依。さくらちゃんは初めて来るんだし」




「...」




里「(あれ?黙り?)」




「...あんま暴れないように」




悠「俺が見張ってます」




架「え?私涼依さんの中で馬か何かですか?」




里「、ぶは...っ!!」





その台詞に噴き出した里苑の肩を叩く彼女。





やり取りが恋人同士のようにみえて、少し恥ずかしくなる。


ふい、と視線を外すと部屋の角にいたフィーネがすぐ横に来ていた。





「...おいで」





トントンと太ももを叩くと、しなやかな動きで足の上に乗る。





食が細く痩せ気味のフィーネはあばらの骨が触ると確認できる。


もうちょっと太ってもいいと思うんだけど...





架「あ!猫可愛い!」



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