ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
後にも先にも里苑だけだと思ってた。


ましてや女なんて、絶対あり得ないと。





「架月が変えてくれた。何もかも。“こういうの”も有りなんだって、思えた」



架「え...?ちょっと待ってください。よくわからないんですけど」






頭に手をそえて難しい顔をする。





そんな彼女をみつめて、何故か俺は喉が熱くなって涙が零れそうになった。





あぁこれが、溢れ出すってことなんだ。


本当に好きなんだと、痛いほど感じる。





「鈍感、...っ勘づけ、バカ」





震える声は、どうしたって堪えれない。





吹いた風に涙が飛ばされる。


枯れ葉が落ちていく。同じように俺も、落ちていく。





架月は情けなく泣く俺に、あたふたとするばかりで。


自分のせいで泣かせたと思ってるのが妥当だろう。





「ごめんなさい」とひたすら謝り続ける架月も、何故か涙目になっていて、驚くというより笑ってしまう。





もう、終止符をうつというのに。


残酷なほど、まだ夢中になる。





底がない感情に、吸い込まれていきそうになるから。





今伝えたら、きっと思い留まるはずだ。


無謀に奈落へと浸るよりも、ずっと楽なはず。





架月の髪を撫でる風は幾分か和らぎ、涙は頬を流れていく。






「好きだよ、架月」






屋上を濡らすよりも前に、不意をつくようにそう呟いた。





瞬きを繰り返す度に、彼女の白い肌にひとつずつ粒が滑り落ちていく。





暫くプリーズしたように目を少し大きくして固まっていたが、一度ゆっくり深呼吸をして軽く俯いた。





答えなんて分かりきってるのに、そういう覚悟で告白したのに、心の片隅に僅かに期待する自分がいて嫌になる。





頭を整理してるのか、俯いたっきり動かない架月。





返事はまた今度、なんて言ってやれねぇよ。


時間があけばあくほど、また好きになる。





性懲りもなく目で追ってしまう。


諦めるならスッキリと、何もなかったかのような顔でいたい。





中途半端は一番鬼畜だ。




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