ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
秋風が、まだ寒さになれない体を凍えさせるから、架月を抱き締める腕に力が入る。





架月は言葉を詰まらせながら、俺の問いに必死に答えようとしてくれている。






架「えと、涼依さんが求めてるものと違うかもしれないんですけど、今日のダンスは、2年前よりもずっと心に響きました、よ?」




「...」




架「私の自意識過剰なんですけど...なんか、私だけのために踊ってくれてる感じがして、凄く嬉しかったです」





そうだよ。自意識過剰なんかじゃない。


俺は確かに、架月の笑顔が見たいがために踊ってたんだよ。





それを架月が感じ取ってくれたなら、それでいい。





架「それと、出逢ってくれてありがとうは、私もです」





付け足される架月の台詞に、思わず体を離してその表情をまじまじと見つめてしまう。





あっけらかんとした顔で、驚く俺を首をかしげて不思議そうにしている。





架「これじゃあ、不十分ですか?」




「いや...」




架「じゃあ解決ですね!」




「は?」





両の手のひらを重ねて満面の笑みの架月に、自然と聞き返す。





架「え?だって涼依さん、何も私にしてやれてないって...そのこと相談しに来たんでしょ?」





怪訝そうに顔を歪める架月。





あながち間違ってないけどそこじゃない。


本意はそんなこといいに来たんじゃなくて、もっと大切なこと。





「架月、俺はお前に逢って世界が変わった」



架「?」





理解していない顔だが、構わず続ける。





二度もこんな恥ずかしいこと言えるわけない。





「今まで知らなかったことがこんなに愛しいんだって、気づけた」





見慣れた景色も何の変化のない生活も。


鮮やかな色彩を伴って輝いてた。





「他人なんていつもどうでも良かったんだ」





干渉するのもされるのも、疎ましかったから。





ただ里苑といる時だけ、唯一他人といて楽な時間だった。



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