月の女神


課外授業に参加しないだけで退学なんてでたらめじゃ…。


「や、多分猫ちゃんも例外じゃないと思うよ。行かなきゃいけなくなるんじゃない」


「そんな…」


「だから心配なんだよ。まぁ、言われたら来るんじゃない?気を付けてれば関わりないだろうけど」


「……」

「向こうが陽太を見て、騒いだりしなければ、だけど」

「……」

るなが宿泊合宿に参加すれば、僕がるなと同じ学校の教師だと言うことを知ってしまうだろう。

「ねぇ、結真」


「ん?」


「ばれてしまったら…彼女はどうするかな」


きっとびっくりするだろうね。だけど、そのあとどうするのだろう。


鉢合わせたとして、ゆっくりこの説明をするほど彼女と話す時間はないだろう。


「知ってしまったら…るなは消えてしまうかな…」

”何も知らない人”だから弱さを見せてくれたのかもしれないのに。


それが自分の通う学校の先生だったなんて知ったら


もう弱さを見せたり甘えたりしてくれなくなるんじゃないかな。


「それが…怖いんだ」


僕の前からいなくなってしまうんじゃないか。


あの家にもう帰ってきてくれなくなるんじゃないかと。


「知って、離れたとしてもそのあと彼女が学校に戻ってきてくれるならそれでもかまわないと思うんだ。もともとそれまでのつもりで住んでいるんだから」


だけど。

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