真っ暗な世界で
20………


30………


次々と浪士たちを斬っていく。


やっぱり、二刀流の達人に教わって良かった。服部さん、教え方も上手いし、私でもすぐに実戦に使えるなんて。


「う、うわぁぁぁぁあ!!しんでたまるかぁぁ!!」


10m程右斜め前で聞こえた叫び声。


既に戦意を喪失しており、恐怖に怯えるだけの叫び声。その叫び声は唯一の出入り口へと移動している。


……………逃げる気か。


そんなこと、させない。


「敵前逃亡は士道不覚悟」


ここからそこに行くには時間がないから、私は近くにいる浪士たちを切り伏せ、右手に持っていた刀を浪士の進行方向へと投げる。


「ひぃ、ひぃっ…!!」


ブシュと血しぶきが舞う音と男の短な断末魔。そして、ドン、ドサッと倒れる音。


他の浪士たちの後ずさる音が聞こえる。


私はそれをいいことに、壁に刺さったであろう刀を回収しにいった。


ここから壁までの距離は歩いて15歩。


13歩ほどのところで止まれば、刀の柄があるはずだ。


私の指先にこつんと当たる刀の柄。


それをしっかりと掴むと、思い切り引き抜いた。


「………逃げられるなんて、思わないで」


感情を押し殺した冷たい声でいうと、浪士たちは次々にガシャンと刀を落としていく。


「う、うわぁぁっ!」


「ばっ、化けもんだ!!」


戦う気がないのなら、無理して斬ることもない。私は片方の刀をしまい、逃げ惑う浪士たちを手刀で気絶させていった。新選組がきた時に捕縛してもらうことにしよう。


中にも曲がりなりにも武士としての誇りがあるからか、襲いかかってきた浪士も20人ほどはいた。


だけど、皆、私を恐れ、剣筋が震えていた。斬るのも容易であった。


そして、それからほどなく


「春っ!無事か!?」


斎藤さんが急いだ様子でこの廃屋に入ってきた。


「………っ」


斎藤さんも、斎藤さんに続いて入ってきた隊士たちも皆、息を飲んだ。


そんなに凄惨な状態なのだろうか。でも、100人もの男たちが死んでいたり、気絶しているんだから、息を飲むのも、当たり前か。












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