身代わり王子にご用心




「これは、私がきちんと対応する。こうまでされたら、もう戦うしかない……と思うから」


“相手の言いなりになるところのどこが、逃げじゃないと言える?”

“そうやって戦わずに、流されて言われた通りにすれば。そりゃ楽だよね。自分で考えて行動したんじゃないんだから。
だから、アンタは誰かに餌を与えられるのを待ってる犬と同じなんだよ”


彼の言葉が、力強い瞳が。私に勇気を与えてくれる。


ううん、それだけじゃない。

藤沢さんが、桂木さんが、坂上さんが。他にもたくさんの人が、私を助けてくれてる。


私は、決して独りぼっちじゃない。怖がったり恐れるだけじゃなくって、勇気を出して戦おう。やられっぱなしだけで、いるもんか!


……あの雪の日。


灰色の恐怖で立ち竦んでいた私の、二の舞にならないように。


私は、今度こそ私を守るために対決しよう。

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