君の世界からわたしが消えても。

 どれだけ謝罪の言葉を述べたって、それを聞いてくれる人もいないし、返事なんて絶対に返って来ないってわかってる。


 そうわかっていても、わたしにはそれくらいしかできなかった。


 ……ミヅキがいなくなって、カナが目を覚まさないままだった、ついこの間までの日常。


 その時までは、わたしが許されたいことは、たったひとつだけだった。


 “どうか、カナを好きなことを、好きでい続けることを、許してほしい。”


 それだけだった。


 ただカナを好きでいて、好きでい続けて。


 もしカナが目覚めたその時は、ミヅキを失った傷を、イチと一緒に少しずつでも癒してあげられたら、って。


 ……カナのことは、好き。


 だけど、ミヅキだって同じくらい大切だった。


 だからこそ、ミヅキがいなくなってあいた穴を、カナの心に付け入る隙を、利用しようとなんて思ってなかった。


 カナの一番になりたい、そう思った日は確かにあったけど、わたしは知っていたから。


 カナの中の一番は、ミヅキだってこと。


 ミヅキの中の一番は、カナだってこと。


 一番近くで見てきたから、知ってる。


 それはこれから永遠に変わらないんだろうってことも、知っている。

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