恋愛ミステリーツアー
エルメスのスカーフの秘密
結局私は、仲間部長に付き合わされ、居酒屋で酒を酌み交わしていた。
仲間部長がほろ酔いになる頃には、私は
とぐろを巻いていた。
「聞いたぞ、お前馬鹿じゃないか!
何が理想の男だよ
いい年した女が夢物語…。
端から見てても寒いぞ…。」
思った通りあの話題だ。
私は、座った目で仲間部長を睨んだ。
「なんだよ!お前
可愛げもなくなっちまったな…入社式当時はお前可愛いかったよなあ。
有名だったんだぜ、お前!」
また始まった、仲間部長のお前は、可愛いかった。
有名だった発言。
所詮は、今の私をおとしめる言葉に過ぎない。
「…帰る!」
私は、そう怒鳴ると席を立った。
そして、伝票を掴みレジへ向かう。
「おいっ、待てよ!」
仲間部長が慌てて後を追い掛けてきた。
私は無視して、バイトの店員に伝票を渡した。
「…円です。」
無愛想にバイトの店員が言った。
接客業なら笑えよ!
と思ったが、私は黙って財布からお金を取り出した。
「…200円のお返しです。」
バイト店員が面倒くさそうに私にお釣りを渡しかけた瞬間、仲間部長が万札をバイト店員に差し出した。
「俺が払う!」
恫喝(どうかつ)に似た、仲間部長の言葉に、バイト店員は速水イマイチみたいな顔を歪ませて、迷惑そうにこう言った。
「レジ打ったんっスですけど!」
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