庭師とお姫様 (naturally番外編)
庭師とお姫様
歴史と伝統を重んじる閉鎖的な国、クロチェ国。



この国ではタブーとされてきた女性親兵に、マーセル国の第三王子から国交を懸けての求愛があったのがつい半年前の出来事。



彼女は今。
新天地で王子やその家族から愛されながら、幸せな日々を送っている、と……彼女の主であったミリザ姫の耳にも、そんな風の便りが届いていた。



元ミリザ姫付きの女性親兵だったシェナが、女性でありながら剣術を学んでいた経緯を知るミリザ姫は、この国で唯一シェナの味方だった。



だから半年前のあの日。
リューシュがシェナを迎えに来て、シェナが自身の心を偽らずに生きていける未来が開けたことをミリザ姫は我がことのように喜んでいた。



それはきっと。
ミリザ姫自身も心を偽らず生きていくことに憧れを抱いていたからかもしれない……。


< 1 / 70 >

この作品をシェア

pagetop