夢見るきみへ、愛を込めて。
変われるものなら、とっくに変わっている。季節が巡る分だけ、いくらでも。
きっかけはたくさんあったはずなのに、3年経っても私は何も変わっちゃいない。見過ごすことは息をするくらい簡単で。跳ね除けることは目を合わせなければできた。
何も見ないふり。聞こえないふり。知らないふり。そうすれば私が望む世界は保たれて、静寂を守れた。
今までできていたことが突然できなくなるなんてこと、ありえるんだろうか。
急ぎなら留守電を残すなりメールをよこすなりすればいいのに、いつまでも止まない振動音の元へ視線を向ける。
再びお父さんから電話がかかってきた日曜日の昼過ぎ。私は沈んだ気持ちで携帯へ手を伸ばす。また『どうだ?』って近況を聞く父親としての義務による行動なら、さっさと終わらせたかった。
「灯か?」
もしもし、と届いた第一声がお父さんではないような気がして黙ってしまった私は、短く返事をする。
「うん」
「寝てたか? 変わりないか」
「……起きてた。どうしたの。何かあった?」
脳裏に映った自称ストーカーをかき消し、要件を窺う。しかしお父さんは急用なわけじゃないとか時間は大丈夫かとか、気を遣ってばかりでなかなか本題に入らなかった。
私だってもしあのストーカーから実害を加えられていたとしてもお父さんに相談することはないけれど、ここまで会話がスムーズにいかないとは。
「今日は日曜日でしょ。家事なら午前中に終わらせたし、昼食も済ませた。時間なら大丈夫。どうしたの」
もう一度催促すると、沈黙のあとに深く息を吸い込む気配を感じた。
「この前、司くんが会いに行っただろう」
よっぽど言いづらいことなんだろうと思っていた。だけど程度を軽んじていた私は目を見開く。