夢見るきみへ、愛を込めて。

お母さんが亡くなってからは一層、親子関係は薄弱なものになった。私だって寂しかったのに、抱きしめてもくれなかった。手を伸ばしても助けてはくれなかったし、奇怪な力を持つ娘を持て余していた。


夢で見るお父さんはいつも苦しげで、つらそうな顔ばかり。ようやく笑みを浮かべたのは、小百合さんと出逢い、ユリカが生まれ、3人で寄り添っていたときくらい。その未来に私はいなかった。

だからお父さんは、私を愛していないのだと思った。

それでもよかった。私が娘として存在するだけで、普通で平凡で仲のいい家族を望むお父さんの未来を壊してしまう。私はお父さんにもう一度幸せになってほしくて、父親という義務に囚われているだけならば、そんなものは不要だと、ひとりでも立っていられると伝えたかった。


『まあ、灯は自分でどうにでもできるだろうけどな』


伝わったものとばかり、思っていた。これまでずっと信じていた。私がいないほうが、近くにいなければ、お父さんは幸せになるのだと。


それなのにどうして、電話なんか。

司さんがいっくんを理由に会いに来なかったから、つらかっただろうなんて言ったの? また力を利用されそうになったから、うんざりだろうって言ったの? そんな素振り、今まで見せたこともないじゃない。私だって見せなかった。相談することも、助けを求めることも、喧嘩することすらなかった。


『……お前は変わらないな』


変われるはずがない。変わりたくない。私はいっくんだけを想うことで、自分の心を、お父さんの未来を、守っていた。


『……出来ることなら4人で新しく始めたかった。その気持ちがあったことは、本当だ』


お父さんたちが出て行った日のことを思い出せば思い出すほど、目頭が熱くなった。
< 86 / 135 >

この作品をシェア

pagetop