夢見るきみへ、愛を込めて。

「ごめん」

目元を手で覆い、俯いた私の頭上から聞こえた謝罪は繰り返された。

「ごめん……まさかそんなに怒られるとは、思わなくて」

他の人がどうかなんて知らない。私が、嫌なんだ。過剰だと分かっていても、湧き上がる感情を制御できそうになくて、無言で彼の横を通り抜けた。

「待って、ねえ、ごめん。もうしないからっ」

「ついてこないで!」

「ごめんなさい!」


感情を感情で殴るような互いの声が静寂な街に響き、思わず足が止まる。


私、この人に怒鳴ったの何回目だろう。睨むように見上げた彼の姿はぼやけていた。


「今日は話したくない」


それになぜだか最近、涙腺が緩いんだ。すぐ涙が浮かぶ。こんな顔を見せたくない。


「話して」


再び歩きだそうとした私を、また彼が止めた。


話して、って。おかしいでしょう。
感情をそのまま吐露することが嫌だから、私がそうするといつもあなたは苦しそうな顔をしながら真面目に受け止めてしまうから、話したくないって言った。話す気分じゃないって意味だったのに。


「話してよ。どうしたの」


私とは違う視点を持つ彼は、そうして今日も顔を覗き込んでくる。


怒鳴っても、突き放しても、離れない。出逢ったときからそう。見当違いでも、意味不明でも、常に寄り添うことをためらわないから、いつもどこかでそっと、心に触れられたような瞬間がやってくる。

頑なに閉じて誰も近付かないようにしているつもりでも、いつのまにか内側に入り込んでいるんだ。
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