恋心コロコロ2~天使さまのいうとおり~
「え?」


「危ないだろうが、死にたいのかよ」


真っ赤になって怒っているその人をぼんやり見上げた。


「戸井田君……」


「戸井田君じゃねえよ。

 俺がいなかったら大変なことになってたぞ」


「あれ?ごめんぼーっとしてた」


「こんなとこから落ちたらケガじゃ済まないだろ?」


「ああ……」

下を見て、ちょうどコンクリートブロックが中途半端に積まれたままになっていて、

落ちたら相当痛いだろうなって感じで、

戸井田君の言うように打ち所が悪ければ死ぬってこともあるかもしれない。


「ああじゃねえよ、ったく、

 もともとぼんやりしてんのに、


 最近のお前は甚だしいんだよ」


「助けてくれてありがとね。」

お礼を言うと、ちょっと照れながら、


気をつけろよなっ


ともごもごと言ってた。


そう言えば前もこんなことあったな。


「戸井田君はウルトラマンみたいだね」


「は?」


「弱きを助け悪を立つ、正義の味方?みたい」

戸井田君は情けない犬のように眉間にシワを寄せて、

「鏑矢限定なんだけど?」

と言うから。

「へえ?そうなんだ」

意味わからず首をかしげながら返事をすると、

「まあ、分かってないんだろうな」

と苦笑した。

全く意味が見えないので、はははと笑っておいた。

戸井田くんには悪いけど、

今の私には、

何もかもがどうでもいいことだから。




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