君はあの日のパンパスグラスを覚えているかい。

ボクはキッチンでお姉さんとお母さんの会話を聞いていることが多かった。


「ねぇ、ママ。パパまた出張だって?」


「うん、そうみたい。」


「1週間前にタイから帰ったばかりなのに又出張?」

「今度は中国の工場で出張じゃあ無くて、転勤の可能性があるみたい。」


「えーやだぁー。ねぇ~純くん。」


なんで?そこでボクにふるの?お姉さん。


「うん。」


「仕事だから、仕方ないでしょう。美栄。」


「…で、いつから?」


「まだ確定じゃあ無いから、いつからってわからないでしょう。」


「はい。それもそうね。」

「その話しはパパが帰って来てからにしましょうね。」


「はーい。」


ボクも紅茶を飲みながら頷く。


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