君はあの日のパンパスグラスを覚えているかい。

ボクは一階に降りて行きキッチンのテーブルに座る。

「純くんはチョコレートケーキだね。」


小皿にケーキを乗せて無糖の紅茶を注いでくれる。

「ママは苺ショート。はい。」


「わたしはミルフィユ。」

ここの家族はケーキの飲み物はというと紅茶に決まっていた。

ボクが小学六年生から、ここの家族と暮らすようになって今でも変わらずそうである。

美栄お姉さんは下町のお嬢様学校。お花茶屋十文字学園を卒業して、大正大学の二年生になる。


東京のお嬢様学校と言えば成城学園が有名だけど…
この下町ではお花茶屋十文字学園を卒業したら一躍町内の有名人になってしまう。

ボクにはあまり興味ないけどね。(笑)

叔父さん家族と一緒に
東京の下町から、戸松市の建て売りを買って引っ越して半年になる。

閑静な住宅街でボクは好きであった。
夏になると花火大会が近くで見れるのがいい。



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