TABOO
同時にこの青年に、引き込まれている
自分を感じていた。
美沙はためらっていた。
すると青年が、
『今日だけでいーから…』
とまた誘ってきた。幸い夫の帰りは
今日は遅い。
遊ぶには打ってつけだ。
『ほんとに今日だけ…?』
『……うん……』
『ちょっとだけなら……』
……こんな事……もう二度と
ないだろうな……
『ホント?…ヤッタ♪』
青年の笑顔がさっきより、増して輝いた。
『車あそこなんだ♪』
青年の隣を歩きながら、
こんな子の誘いを
断るなんて子
いないだろうな…
と、美沙は思った。
慣れた手つきで、
ドアを開ける。
助手席に座る。
『……乗って……
お姉さん。』
『有り難とう。』
『…あ、俺、零っていいます。立花零…レイって呼んで下さい。』
『……レイ?……』
『お姉さん…名前は…?』
『え、あ、美沙…
早川美沙です。』
『……ミサ?……
可愛いい名前だね?』
『美沙さん…
時間、どのくらい平気?』
『あ、1時間くらいなら』
『……1時間か……』
『なんの仕事してるの?』
美沙はやっとの思いで
レイに聞いた。
黙って見つめるだけで
精一杯だった。
そのぐらい
レイにときめいていた。