TABOO




『シェフだよ。これでも。チーフ♪』



六本木のレストランで、腕を振るっているという。意外だった。意外としっかりしてるんだ。…と思った。どう見ても
ホストか、
フリーターぐらいにしか
見えない。
するとレイが、



『今、意外~?
って思った~?』



と、聞いてきた。
見透かされた。
美沙は慌てて、



『そんな事ないよ。ただ、夜の仕事の方が、
似合うと思ったから。』



『ハハッ…
よく言われるよ。
お姉さんは、美沙さんって呼んでいい…?』



『美沙でいいわよ。』



『……え……?
呼び捨てでいいの…?』



美沙は黙って頷いた。







『……美沙って……可愛いいよね…?』







『いつもそうやって口説いてるの?』



『俺、基本的に
ナンパはしないよ。ただ今日は美沙が、めっちゃ綺麗で
オーラあったから。つい声掛けちゃったけど。仕事も忙しいから、
彼女も今は作らないし。』



…本当だろうか…?本当にこんな綺麗な子が、一人でいるのだろうか。
美沙にはとても、
信じられなかった。
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