LOVEPAIN④
「早く降りないと、引きずり降ろすぞ」
業を煮やしたように、そう口にする成瀬
「成瀬さん……」
少し宥めるような口調の篤は、
私の今の気持ちを察してくれているのだと思う
篤はなかなか車から降りない私に、何も言わないから
成瀬はともかく、
そんな篤にはこれ以上迷惑を掛けられないな……
「――分かりました。
お疲れさまです」
私は鞄と私服の入った紙袋を持つと、
ベンツから降りた
ベンツは私が降りると、すぐに発進された
杉浦さんの元へと行く成瀬を、
泣いてでも、その腕を掴んででも、止めたい
そう強く思うけど、それが出来なかった