LOVEPAIN④
「うちのドラムが呼んでるから行くわ。
じゃあ、またこのスタジオで会ったら声掛けて。
次会ったら、デートしような」
涼雅はギターケースを持ち、
私に背を向けてそのドラムの彼の方へと歩いて行く
「あ、あの、デートはしないけど、
あなたの歌はもっと聴きたい!」
「――え?」
私の言葉に振り向いた涼雅は、
とてもいい顔をしていた
自信たっぷりなその表情
きっと、女の子にデートをオッケーされるよりも、
今の方がいい顔なのだと思う
「俺らY駅の近くのライブハウスに時々出てんだ。
後、たまにF公園で俺一人で練習してる。
ま、良かったらどっちかに来て。
さっきみたいな誰かの曲じゃなくて、
今度はオリジナル聴かせてやるから」
「はい!必ず!」
そう、思わず返事してしまう
その涼雅のオーラみたいなものに気圧されたのもそうだけど、
私は迷わずに頷いた
彼の歌をもう一度聴いてみたいと、本当に思ったから