Innocent Smile~ずっと一緒に~
2月になったそんなある日、
秘書の山口さんから俺に直接呼び出しの連絡が来た。
山口さんは、親父の会社の秘書。
50歳くらいのオジサンだ。
長年、ずっと親父の筆頭秘書をしている。
もう……秘書というか、身の回りの世話係りという感じだけど。
呼び出された先は、親父の会社だった。
「いやー、すみません恭哉さん、わざわざ。」
玄関ロビーの受付のところにいると、いつもの営業スマイルで山口さんが現れた。
「いいえ。どうせ親父の差し金でしょうし。」
「…はは。」
俺も負けじと嘘っぽい笑みを浮かべる。
別に、山口さんのことが嫌いなわけじゃないし、山口さんが悪いわけでもない。
親父の命を受けて、仕事をしているだけだろうから。