The Suicidells
GO TO THE 施設
「TSUYOC!TSUYOC!どーしたの?起きてよ~」口から泡をふき白目を剥いた男を見て、髪を真っ赤に染め網タイツを履いた女がどーしたらいいのか分からずしどろもどろしている。女は携帯を取り出し119を押す。
このイカレタ風貌の女は、つよしの所属するビジュアル系パンクバンド「乱血血」のライブの客の一人。つよしがライブ後に出待ちのファンの一人を物色し部屋にTake outするのは毎度のことだが、いかんせん女の趣味がイケてない。今日の女も相当の面構えをしている。ミニスカから覗く網タイツの足、ベタな表現を使うとまるで‘ボンレスハム’のようだ。「ブサイクな女の方が後腐れなくていいんだよ。本チャンの女はそりゃ~すげーよ!」っと言い訳するが、今までの彼女の中にもメンバーの見た感じロクなのはいない。女が部屋に着くなりつよしは「シャワー浴びて来いよ」っと、いつものように女に言い放つ「シャワー浴びたら髪乾かして化粧して服もちゃんと着てから、こっち来いよ。プレイはそれからだ」軽いコスプレ趣味も持ち合わせている。ビジュアル系パンクバンド「乱血血」の曲はギターのつよしが主に担当している、ファンからすれば神様の様な存在なのだ。そりゃ~神様から言われたとなれば、多少の気持ち悪い言い付けでも、ある種お告げのごとく「うん♪」と声を弾ませ浴室の方にスキップ気味で入っていく。しばらくして「シャー」っと勢いよく水の出る音がし始めると、つよしはおもむろに鞄からアル物を取り出す。つよしは女とヤル前にシャワーを浴びることはないが、決まってすることがある。「クスリ決めてからヤルとすげーんだって、気持ち良さが半端ないから」鞄から出てきたのは注射器と白い粉の入った小さい袋、ヘロインだ!最近では、クスリのもたらすトリップ感も、だいぶ危険なとこまで来てる。ついこの間も嘔吐しながら気絶しているのをメンバーに発見されたばかりだ。「つよぽん、もう止めてくれってマジで。俺らメジャー決まってんだぜ、変な記事とか書かれてブチ壊したくねーだろ?」ヴォーカルのミロクが執拗に釘を刺すが、当のつよしは全く聞く耳を持たず「キメてないと曲浮かばないんだって、困んだろ?そーなったら」と、俺がクスリをヤルのはバンドの為とでも言わんばかり。女がシャワーを浴びている最中、手慣れた手つきで、注射針を腕に突き刺す。瞬く間に鋭い高揚感が全身を駆け巡る。
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