世にも奇妙な話
 腹の立つ言い方だったが、戦争後の世界は戦争よりも過酷で、辛いように思えた。逃げようとした人や銃で撃たれた人、塞がる壁に平和を訴えた少年。今考えてみれば、それは私が戦争を体験できる唯一の空間であった。それに始めて戦争という意味が分かった。ドンパチだけが戦争ではない。それ以後も戦争なのだった。

 何も言わない、言えない私をよそに、担任は続けた。

「情があって、考える人間になれよ。人間には誰でもその素質があるんだからな」


 私は現在、ある企業に勤めている。そして非政府組織にも加入している。ただ戦争をなくしたいと一心に思う行為であった。しかしそれは単なる自己満足で、実際は何もやっていないのは分かっていた。一般人がそんなことを考えても無駄なこと。だが戦争はなくなってほしい。それは自分でも知っている。しかしふと思いついたのが転職であった。コメンテーターにでもなろうかと考えたことがあるが、今はエッセイを書き、出版社に投稿している。だがいつも返事は同じようなものだ。今ではこれぐらいしか自己を主張することができない。

 今は、これが私の精一杯の力だ。そしてできること。

 将来はきっと、と私の手は動く。
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