ダウトゲーム【更新中】
程なくして右崎がコンビニ袋を引っさげて玄関を上がってきた。

コトン

と置かれるは愛しのハーゲンアイス。




「……って青汁味ってどーゆうことだい!」



無視。



「むしろよく見つけたよ!」

「これくらいの罰、当然だろが」



アタシの隣にさりげなく腰を下ろしたかと思えば

自分はちゃっかりバナナなんちゃら甘ったるいフレーバーを手にしている。



「あり得ない、ストロベリー以外の味なんて考えられない……しかも青汁」

「さっさと食べたらいいよ」



嘲笑を含んだ笑みがこちらを向く。



「ねぇ、ちょっとそれも頂戴よ

アタシのも一口と言わず何口もあげるからさ!」



「俺は俺のを完食するんだから、あんたはあんたのを完食すればいいんだよ」



悪魔である。



「くっそー!」

「桃鉄で惨敗したのは?」

「……アタクシでございます」

「それでもジャンケンしてあげた上に、アイスまで買って来てくれたのは?」

「……右崎様でございます」

「よろしい、喰え。」


魔王様である。




テンションだだ下がりで緑色のそれを口に運ぶ。

まっず……



「ってかさ、あんたって呼び方は彼女にはしないでしょ

そんなんじゃすぐバレちゃうんだからね」




「なに、名前で呼んで欲しいわけ?」




反則的だ。

妖艶な笑みを浮かべて覗き込まれ

息を飲む。

絶妙な間隔の二重瞼と眉が狡い。




「ち、ちが……せめて苗字でいいからさ」



動揺を隠すために態と眉を顰めた。




「ん」



?!



突然、甘ったるいキャラメルクリームを口の中に突っ込まれる。



「一口だけなら、あげる」

「でも、それはいらないから」



さっきまでの下から覗き込むような姿勢を戻してアタシのアイスを顎で指す。




唖然として咀嚼。




「……甘すぎやしませんかね」



「そんなことないよ」






実は動悸がしているような気するなんて

悔し過ぎて口が裂けても言いたくない。

< 33 / 85 >

この作品をシェア

pagetop