ビターな彼氏の甘い誘惑

香川君が手を止めて、

「なんだー、利理。終わったのかぁ。
 俺もおわろっかなー。」

「えっ。
 香川君、それ 終わったの?」

「綾菜さん。資料集めと
 デザインはあがってるので、残りは明日にしまーす。」

「えーー。
 私は、全然色校正でなやんでるのにぃ。」


綾菜さんは何枚かの紙でペラペラと空を仰いだ。


「じゃぁ、利理。
 俺とご飯でもいこーぜー。」

「へ。
 ・・・・いいけどぉ。
 綾菜さん。大丈夫?」

だから、
香川君。君が相手にされないところは
たとえ同期でも女の子を気軽に誘ってご飯。

そういうところが、
綾菜さんには『真剣に口説いてる』って映らないんだと思うよ。




「あ。私は大丈夫よ。じゃー、二人ともお疲れ様ー。
 仲イイね。」

ほら。

「ち、
 違いますよ。綾菜さん。利理は同期だからーー」

あわてて 訂正しても遅いって。

もぉ。香川君って
そういうところ、天然だよねぇ。

< 106 / 200 >

この作品をシェア

pagetop