ビターな彼氏の甘い誘惑
呉羽部長は、
はぁぁって ため息をついて
ちらりとこちらを見る。
・・・だから、
その流し目が威圧的で
怖いんですって。
「・・・あのぉ。」
「だから、
なんで津川と。」
「だから、津川さんはただ送ってくれただけで、」
「無防備に、ほかの男の車で?」
「は?
だって、」
~♪ ♪
二人の間に割って入る着信音。
「出れば?」
「まぁ、言われなくても、出ますけどね。」
もう、なんなのよ。
なんでせっかく会えたのに不機嫌なのよ。
着信は、瀬川さん。
「もしもしー?
え、えぇ、もう着きます。
ありがとうございます。」
たわいのない返しをして、
くるっと
部長のほうに向きなおすと、
やっぱり、
眉間にしわを寄せて
不機嫌そうに、私を見下ろしていた。
だから、
なんでそんなに怒ってるんですかぁ。