ビターな彼氏の甘い誘惑

「津川は腹が立つが
 そっちじゃない。
 あんまり、無防備にナンパとかされてんじゃない。」
「は?ナンパ?」

「嫉妬するだろ?
 なんな、親しげに触られてるんじゃない。」
わかったか?とまっすぐ利理を見つめながら
するっと利理の髪を腕をなぞる。
細いな。
もう少し太ってもいいのに。


利理は、ちょっと顔を赤くして
「いや、別に、嫉妬とか…いいですけど」
なんて つぶやく。


「ま、ほら、行こうぜ?」
「はい?」
「シャワー。」
「は?」

「だから、シャワー」
「いっ 一緒に入る気ですか?」

顔をしかめる。
なんだ、入りたいといったのは利理じゃないのか?


「だから、風呂。
 入らないのか?」
「---っ。一人で入りますっ」

へぇ。
そういうの、嫌いなのか?
好きそうなのに。

ふーん。

笑いながら、利理のほどけた髪を撫でながら、すくう。
利理が少し、身構える。

大丈夫。襲わないって。
今は。

「・・・なぁ、俺の部屋って初めてだな?」
「え?はい。
 その、広いですよね」
「広いっていうか・・・家具がない。
 寝るだけだからなー、ベッドは広かっただろ?」

にやり、と笑ってやると、
利理は無邪気に 笑い返した。


「ちなみに、ここの風呂場は、シャワーも調節できるし、
 湯船も広いしジェットだし。
 余裕で、二人。入れるぞ?」
「・・・!!」

お。食いついた?


「そして、
 これは、サンプルでもらったバスソルトと、
 泡ぶろの元。あと・・・」
「っ!!」

ほらほら、と サンプル品や粗品を出してみる。
利理の顔が 赤くなったり、険しくなって
表情が忙しそうだ。

「利理?」

おいで。と手を差し出すと、
「・・・もぉっ。」
あきらめたように 
手を取った。

ふ。作戦成功だな。


< 192 / 200 >

この作品をシェア

pagetop