シナリオ「はりぼて代表取締役」

申請開始

〇京都地方裁判所、外、
   モダンな京都地方裁判所正面。
   守衛が敬礼している。

〇同、第5民事破産窓口、内
   カウンターに松平が座っている。
   担当の宮前が資料を見ている。

宮前「あのう・・・」
松平「はっ、何か?」
   松平、覗き込む。

宮前「会社の取締役のままでは申請できません。破産の権利制限に引っかかります。
 役員を降りるか50万の予納金を収めて会社の破産と同時進行で行くか、どちら
 か決めてください。それと各債権者の残高証明をもらってください」

松平「えっ、50万?・・・役員おりますわ」
宮前「それでは法務局で新しい謄本をあげてきてください」
松平「はい」
   松平、頭を下げて出る。

〇京都地方法務局、外
   京都地方法務局とある。

〇同、法人カウンター
   松平、担当者と話している。
松平「治と静子が辞任して金吾を代表取締役にしてください」

担当「金吾さんはおいくつですか?」
松平「この11日で19歳になります」
担当「19歳、未成年者ですね?」
   担当、机上の判例集を調べる。
   松平、不安顔。

担当「18歳ではだめだとはっきり書いてあるんですが。19歳?ちょっと
 お待ちください。上司に聞いてまいりますので」
   担当、席を立つ。
   松平、その後ろ姿に合掌する。

   x  x  x

   担当が戻ってくる。
担当「お待たせいたしました。親の同意書と戸籍謄本の写しがあれば
 いけるそうです」

   松平、額の汗を拭きながら、
松平「で、費用のほうは?」
担当「2万円です」
   松平、驚きの顔で笑顔に変わる。
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