君の全てが欲しいんだ


「みらい。」


「ん、―――?」



とろりとした瞳が、僕を見つめる。



「上手に出来たら……ご褒美、ある?」


「ああ、あるよ。」


「やったーっ。」



無邪気に微笑む君の髪をすきながら、僕は大きく息を吸い込んだ。



幸せだ、―――――。



「ご褒美って、有紗は何が欲しいの?」


「わかってるでしょう…もうっ。」



唇を尖らせて、わざと下っ足らずに話す有紗が可愛くて仕方がない。



「好き?」


「ああ。好きだよ。」



そっと頭を撫でると、嬉しそうにすり寄ってきた。



「有紗は?」


「大好きだよ。

…もう、みらいから離れない。」



くるりと踵を返して、有紗は携帯を片手にリビングから出て行く。



「じゃあ、頑張ってくるね。」



これで、余計な心配事はひとつ減る。


しばらくは有紗を、――――。


誰にも邪魔されずに、独占することができそうだ。


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