17歳─恋のはじまり─
第1章 高2─夏─

1.「…辛かったな」

バンッ!!


勢い良く開けられた扉。
学校の屋上。


「バカヤロー!浮気男なんて、こっちから願い下げだっての」


暖かい夏風を全身に受けながら、

あたし都築千紗(ツヅキチサ)は
大声で叫んだ。


『お前、面白くないんだよな』


ついさっき、

3ヵ月付き合った彼氏に
二股されていた挙げ句、

そう言われて。


怒りで柵をぎゅっと握る。


何なのよ。
面白くないって何!?

あたしは、

あたしは、



「芸人じゃないっつーの!」

「うっせーよ!」

「………」



え!?


どこからともなく
聞こえた声に

ピタッと千紗の身体が固まる。

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