となりの庭。
１
窓から見えるとなりの家の庭は荒れ放題だ。

子供の背丈ほども草が伸びている。

古いアパートの２階の部屋からその庭をぼんやりと見ている。

今日、僕はこのアパートに越してきた。昼間、不動産ですぐにでも住めるという事で、即決だったのだ。昨日の僕は今のこの時間の事なんか夢にも思わない、当たり前だ。

今日のＡＭ６：５９分頃の僕だって、今のこの時間の僕の事なんか夢にも思っていない。当たり前。

今日のＡＭ６：５９分頃の僕は２階の部屋から下の居間へ降りて、最初に見たのは母の顔。笑っていた。微笑んでいた。

そして手には、百均で買った花瓶をもっていた。

花瓶には血のりがついていた。

母のGパンにも。


百均で買った血のりのついた花瓶を手に持った母が、微笑んでこちらを見て立っていた。

足元には頭から血を流した父が作業着のままうつぶせに倒れていた。

母が父を花瓶で、ぶん殴って殺したのだ!!。

と一瞬で理解した。と思った。
< 1 / 6 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop