TRIGGER!
「仕事ってさ、昨日みたいの?」


 誰かを迎えに行って、何処かへ送り届ける。
 そんな仕事なのだろうか。


「この俺様ともあろうものが、そんなガキのお使いみてぇな仕事するかよ」
「へぇ。ね、あたしは? 付いて行ったらダメなのか?」


 立ち上がりかけたジョージは、心底迷惑そうな顔をして。


「勘弁してくれ、お守りなら隼人の方が適任だぜ」
「何でだよ、いいじゃんか。昨日はジョージだって勝手に付いて来ただろ?」
「俺はいいの。信頼と実績があるからな」


 何だよそれ、と、彩香は言った。
 ジョージは今度こそ立ち上がり、彩香の肩に手を回す。


「あっちはな、もっと根深いしがらみがあちこちでトグロ巻いてるんだよ。お子ちゃまが興味本位で遊んでると、痛い目見るぜ?」
「それはそれはご忠告ありがとう。クソ喰らえだ」


 その手を振り払い、彩香はウイスキーを飲み干す。
 ジョージはガハハハハと笑いながら、店を出て行った。


「面白くねぇな」


 ウイスキーを注ぎながら吐き捨てる彩香。
 まぁまぁ、と、そんな彩香を桜子が宥める。


「ジョージはね、あぁ見えて結構ロリコンなのよ」
「何のフォローにもなってねぇよ」
「それだけ心配だって事よ。長生きしたいなら、少しは素直になることね」


 ったくどいつもこいつも、説教じみた事を言う。
 彩香は仏頂面で、タバコを取り出して。


「長生きなんてしたくねぇ。あたしは・・・」


 ただ、今、生きているかどうかを実感したいだけ。
 その言葉は、彩香の口から紡ぎ出される事はなかった。
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