I love you に代わる言葉
「早いんだな、起きるの。もしかして眠れなかったのか?」
「少しは寝たよ。本当にただ目が覚めただけだ」
「そうか。で、俺は起こされて何すりゃいいんだ?」
「何って無いけどさ、リビングのテレビ観てていい?」
「ああ、そんな事か。好きにしろよ」
 シンはそう言ってパタッと上体を布団に沈め、目を閉じた。やっぱりまだ眠いのか。
「おねーさんすぐに起きてこない?」
 ボクが問い掛ければ、シンは再び目を開け、心持ち頭を上げた。
「今が五時半過ぎだろ? 流石にあと二時間……いや、三時間は起きてこねぇだろ。起きてきたとしても気にしねぇと思うぜ。何か言われたら、俺にテレビでも観てろって言われたって言えばいい」
「アンタが起きてくれたら一番助かるんだけどね」
「悪い。もう少し寝かせてくれ」
 シンはそう言って思い切り寝る体勢に入ってしまった。――仕方無い。時間が時間だしね。それに、あんな小声で目を覚ましてくれたんだ。しかもきちんと、投げやりじゃない会話をしてくれた。今井の寝起きの悪さに比べたら、神みたいなもんだ。
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