I love you に代わる言葉


 六限目の授業を終え、いつもの様にさっさと帰り支度を整える。
 今日は水曜だから授業は六限で終了だ。昨日<火曜>は七限も授業があったから面倒だったな。明日は期末テスト前日だから授業は昼で終了だ。部活動も無い。ま、部活動の有無など、何処にも所属していないボクには関係無いけどね。
 それにしても。
 チラッと今井の席を見た。
 今井は四限目の授業から姿を見せていない。三限目の授業(因みに体育だ)をボクはサボったから、正確にはそれから奴の姿を見ていない。
 ボクに付き纏っても無駄だという事が奴の頭でも理解出来たのか。ま、ボクとしても諦めてくれたのなら何とも有り難い。
 ただ少し、奴の行動は予想外で何処か拍子抜けした気分だ。まぁ、これでいいけど。
 ガタッと席を立って騒がしい教室を後にした。終礼が始まるまでにさっさと出よう。
 何の為に持って来ているのか解らない、随分と軽い鞄を肩に掛け、両手はズボンのポケットに突っ込む。いつものスタイルでいつもの様に終礼前に帰宅する。
 良くない事をしているのに(一応自覚はある)ボクの足取りは堂々たるものだ。当たり前の光景だしサボる奴は他にも沢山居るから、こんな事に奇異の目を向ける奴も居ない。
 まだ終礼は終わってないぞ何処行くんだ、と擦れ違うセンセーに呼び止められた事もあったが、今ではもう何も言ってこない。それどころか授業を真面目に出る事が増えたから褒められたり喜ばれる。可笑しな奴等だ。
 五組と六組の教室を通り掛かる時、チラッと中を覗いたが、シンという男は見当たらなかった。
 階段を下りて下駄箱へ向かう。
 そこには今朝と同様、今井が居た。
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