愛してもいいですか



「あっ、日向!車止めて!」

「え?なんでですか?」

「あそこ寄りたい」



薄ピンク色の爪をした指先が指すのは、窓の外。道沿いにある、『餡子屋』と書かれた小さな和菓子屋だ。

そういえば、この辺りに餡子屋の新宿店があったっけ。いつも俺が行くのは銀座の店舗だから忘れていたけれど……窓の外を見ていた彼女は見逃すことはなかったらしい。



「ね。日向もあんまり食べてなかったからお腹すいたでしょ?」

「……はいはい」



言われるままに、車を近くの空きスペースへ停めると、架代さんは自ら降り店内へ足を運ぶ。



「車で待ってていいですよ?いつも通り適当に買ってきますし……」

「いいの、たまには自分で選びたいのよ」



基本的に彼女は何事も『自分の目で見る』ことが好きだ。

人に任せておけばいいのに、ということも自分でやりたがるから、それに付き合うこちらは戸惑うことも多い。けど、そういう所も俺は好きだ。



「いらっしゃいませー」



入り口から小さな建物へと入れば、ショーケースにずらりと並ぶ大福や饅頭など餡を使った和菓子の数々。

その中の一角で、一番広いスペースをとって並ぶのは沢山のたい焼き。一見どれも同じだが、味の種類は様々だ。



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