愛してもいいですか
「わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます。少し道が複雑で分かりづらかったでしょう?」
「大丈夫ですよ。なんか、いつもと雰囲気違いますね」
「そ、そうですか?私服だからかな?」
普段より気合いをいれていることを気付かれないように笑うと、白いシャツと紺のカーディガン姿の松嶋さんもふっと笑う。
そして私がシートベルトをつけたことを確認すると、車はゆっくりと走り出す。
「今日休み取れたんですね。よかった」
「えぇ、予定なにも無かったので」
「じゃあどこに向かいましょうか、横浜方面にでも行きます?」
「天気も良いし、素敵かも」
二人そう頷くと、車は横浜を目指しスピードを上げた。
松嶋さんは優しくて、話していると楽しくて、結婚したらいい家庭を築けそうだと思う。
『ただ、誠実で優しくて、私自身を想ってくれる人と出会いたい』そんな願いを抱いていた私にとって、彼みたいな人が告白をしてくれるだなんて、夢のようだもの。
もしかしたら、話し合って説得したら、仕事のことだって分かってくれるかもしれない。少しくらいならと許してくれるかもしれない。
……だけど、分かり合えなかったら?私に今の立場を、仕事を捨てる覚悟はある?
『軽蔑しますね』
どこか、一番大切なものを見失っている気がする。