素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
俺と兄貴は二人兄弟だ。家は、あまり大きくはないが総合病院を経営していて、今は父親がそこの院長だが、いずれは内科医である兄貴が院長を継ぐはずだ。

ちなみに俺はと言うと、医者は向いてないと思い、法科に進学して法律家を目指した。しかし司法試験に二度失敗し、もし今年の三度目も落ちたら諦めようと思っている。


兄貴は長男だけあり、性格はおおらかでなかなかの二枚目。頭も良く、良家のお嬢さんだった裕子さんを嫁にもらい、正に順風満帆な人生を送っていた。2年前までは。


ところが2年ほど前のある日の夜、兄貴は自転車が好きで、その夜も近所の路をロードバイクで流していたらしい。そんな兄貴が、交通事故に遭ってしまった。

相手は車で、当然ながら兄貴は大怪我をしたが、相手の運転手は不明。つまり轢き逃げだ。


兄貴は、命までは奪われなかったものの背骨をやられてしまった。下半身が麻痺し、リハビリを頑張って杖をついて歩けるまでには回復したが、男としての機能はダメになってしまったらしい。

そして一年ほど前から、俺と義姉である裕子さんとの、禁忌な関係が始まってしまった。

俺は裕子さんが家に嫁いで来た時から、美しい彼女に密かに憧れを抱いており、いけない事と知りながらも、甘美な誘惑に抗う事が出来なかったのだ。

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