素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
和馬とは晴れてカレカノになったのだけど、デートらしいデートはあまり出来てない。お互いの休みが合わないからだ。ただしエッチはたくさんしてるけどね。だって、家が隣同士だから、気軽に行き来できるのよ。


というわけで私はデート気分なんだけど、和馬はそれどころじゃないと思う。なにせ今日の合否で自分の将来が大きく変わるわけだから。

もっとも、和馬は今年がラストチャンスで、もし今年も落ちたら司法試験を諦めると言っているのだけど、私は諦めるべきではないと思ってる。彼には言ってないけども。

和馬には悪いけど、今年も落ちるんじゃないかと私は思う。特にその根拠はないのだけど、何て言うか、司法試験みたいな超難関の試験に受かる方が私には不思議に思えるんだ。奇跡と言ってもよいのじゃないかしら。


だから今日の私の役目は、試験に落ちた和馬を慰め、出来れば元気づけてあげ、そして来年もチャレンジするように彼を説得する事。そう思って彼に着いて来た。

和馬は早く定職に就きたいのかもしれないけど、私はそんなに焦る必要はないと思う。もしそれが私と、その……結婚したいからだとしても、私が和馬の分も稼げばよいわけだし。


「おお。思ったより人が多いなあ」


横を歩く和馬の視線を辿ると、前方に横長の掲示板と、その前にたむろする大勢の人の姿が見えて来た。

< 73 / 83 >

この作品をシェア

pagetop