コンプレックス
トントン








「やぁ。また来たんだね

今日はどんな情報が欲しいのかな?」







黒い帽子を深くかぶっている男の人は








どんな表情をしているのだろうか。







「この女よ」








「えーと…おっとこの子の情報は

全然ないんだよねー。どーする?」







相手をちゃかすような言い方に








あたしはいつもムッとする。








「あるだけでいいわ。

居場所がわかるなら、嬉しいけど」








「居場所ね。それならわかるよ。

この子は絹繼 緑。

ちょうど今表を歩いているけど?」








なっ!?








「それをさっさと言いなさいよ!

いくら?」








「名前だけだからとらないよ。

いってらっしゃい?」






にやりと笑うそいつ。







嫌な奴ね。







あたしは何も言わずにそこを出た。







< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop