赤と青の恋
「じゃ帰るぞ」
ベンチから立ち上がり茜の顔を見下ろすと
茜が手を差し出した。
「ん!!」
「何!?」
「アオ手貸して」
俺は右手をそっと差し出すと
茜は左手で握りしめ立ち上がった。
「アリガト」
そう言って優しく微笑み
俺の手を放した。
“俺はどうかしているのかな"
一端放した手を
また元のように握り返した。
「アオ?」
「たった今…チャンスが大チャンスに変わった」
茜にまじまじと見つめられているのを知りながら
気づかないふりをして目を反らしたままの俺。
「アオ!!帰ろっか」
「ああ」
自転車に乗り
サイクリングロードを走り出す。