Candy House
「愛されていますよー。

ノゾミちゃんは俺らのものなんで」

安部さんがニヤニヤと笑いながら、監督さんに向かって言った。

あー、もう人前だってことがどうでもよくなってきたよ…。

麻子さんと一葉さんとさくらさんは、完全にあたしたちから目をそらしているし…。

「あ、そうだ!

もしよかったらなんだけど、君たち『ニコニコ横町』を案内してくれないかな?

この町のお店とか名物とか、いろいろ」

監督さんがあたしたちに言った。

「えっ?」

あたしは聞き返した。

「名物はこれと言って特にないですけど、案内するだけでしたら」

そう言ったのは麻子さんである。
< 222 / 370 >

この作品をシェア

pagetop