Candy House
「さ、される訳ないじゃないですか!」

あたしは首を横に振って言い返した。

乙女みたいな発想はしてるなとは思ったけど、何かされはしなかった!

「ふーん、まあいいけど」

上野さんはペタリとあたしにくっついてきたと思ったら、抱きしめてきた。

「ちょっ、ちょっと…!」

あたし、たった今買い物から帰ってきたばかりなんですけど!

暑い中で帰ってきたから、当然躰は汗臭いことになっている。

しかも、ただでさえ暑いんだからくっつくなと言う話である。

「あっ、ズルい」

「――ッ…」

安部さんはあたしの唇に自分の唇を落とした。

もう、あたしは汗臭いんだってば~!

この2人のせいであたしは一生恋をすることもなければ、好きな人ができることなんてないと思った。
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