Candy House

イースターバニーガール

「ノゾミちゃん、準備できたー?」

ノリノリ感丸出しの上野さんの声に、これ以上の時間稼ぎは無理だと言うことを知らされた。

もう、何であたしがこんなことやらなくちゃいけないのよ~!

恥ずかしさで泣きたい気持ちを押さえながら、あたしは2人に向かって顔を出した。

「おっ、かわいい!」

そう言ったのは黒のスーツ姿の安部さんだ。

彼の頭のうえには黒のウサギの耳がつけられていた。

「顔だけじゃなくて、全身も見せてよ!

ノゾミちゃんのために選んだ衣装なんだから!」

黒のギャルソン姿の上野さんが急かしてきた。

同じく、彼の頭のうえにも黒のウサギの耳があった。

あたしの頭のうえにも彼らと同じ、黒のウサギの耳がつけられている訳なんだけど。

「絶対見せないとダメですか?」

カーテンで躰を隠しているあたしに、
「ダメ」

上野さんと安部さんの声がそろって返ってきた。

うううっ、そうですよね…。

これ以上の攻防戦は無理だと思い、あたしはあきらめてカーテンを開けた。
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