Candy House
「途中から他人の存在を忘れてんじゃないわよ、もう!」

八束さんは叫ぶように言った後、背中を見せた。

カランコロンカランの音が激しかった。

って、止めてくれないんですか!?

「邪魔者が帰ったから結果オーライか?」

上野さんがドアの方を見ながら言った。

「んーっ、結構いい香りがするね」

安部さんはあたしの髪に顔を埋めている。

「安部くーん、抜け駆けしないってさっきも言ったじゃんか」

上野さんは上野さんで何クソと言うように、あたしを抱きしめている。

す、すみません…。

気のせいかも知れないですが、手があたしの胸をさわっているのは気のせいでしょうか?
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