手をのばす
そういうことを、心を開いて話す相手がいるのはとても楽しい。

ずっと自分の心に押し込んでいたもの、

自問自答していたものを、ゆっくり言葉と音に変換して伝える。


慣れない作業で疲れることもあるけれど、楽しさのほうがそれをもっと上回っていた。


沙耶といると、どうしてこんなに時間が早く過ぎるのだろう。


仕事のときはやたらと時計を見てしまい、あと何時間?

ああまだこんな時間?

と思うのに、沙耶とは会社の昼休みだけではとても時間が足りない。



全然足りない。



一緒に退勤しては食事をしながら、お互いのことをもっともっと知ろうとしていた。




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