手をのばす
幼いころからどうしようもなく内気で、人見知り。

あまり大きな声を出すこともなくて、とにかく私は他人と話すのが苦手だった。



何かを口にしようとする一歩手前で、一瞬ためらう。

無意識にぐっと抑えてしまう。

親にすら、言いたいことを言えなかった。

そんなことを繰り返していたら、いつからか話し方がヘンになってしまった。



たまに喋ることがあっても、口をあまり開かないで、ぼそぼそと話す・・・・・・。

声が口の中で音をなくしていく。




外に漏れるのは、低くて聞き取りにくい言葉だけだった。

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