手をのばす
私の周りからは波がひくように人が消えて、そのかわりに遠くから


「気持ち悪い」

「あの子、暗ーい」


そんな声が聞こえるようになった。



時々持ち物がなくなったりすることがあった。

時々机に「キモイ」と落書きがしてあった。

時々ノートがびりびりに破かれていた。



私はうつむくしかなかった。


「どうかこれ以上、悪いことが起きませんように」


うつむきながら、私は毎日祈っていた。


そして、ますます私の口と心は閉ざされた。

どうしてこんなことになったのか、よくわからない。

変わるきっかけもつかめないまま、何の革命も起こせないまま。



私の学生生活は、実にあっさりと終わった。
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