手をのばす
やがて沙耶がほほをふくらませて、

「んもう、わかってるよ。言ってみただけ。そうなったらいいなって。そうだったらきっと楽しいなって思っただけ。冗談よ」


「そうよね。ごめん、真に受けすぎよねえ。ほら私って真面目だから。ごめんごめん」


私はいつもよりやや大きな声で、おどけてみせた。


沙耶はまだ機嫌を直せていないようで、残り少ないパスタをフォークでつついている。



「あ!もうこんな時間だ!昼休み終わっちゃう。早く食べよ。今日はちょっと料理くるの遅かったよね」



明るく沙耶に声をかけた。




言いながら私は、気づかれないように息を吐いた。
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