『エレベーター』from The Eleveter

3。

ジョン・スミスは紺のスーツ、ズボン、ネクタイというこの場とは全く無縁の出で立ちをしている。髪も短くサッパリといかにもエリートを思わせる。約3時間位は空腹も忘れ、この闇にうずくまっていた。元いた世界ではどうなっているだろう、今頃ジョン・スミス失踪！謎だ。と新聞の一面を飾っているのだろうか。家族はどうしているのだろう？妻のメアリー、子供達、それにホテルの同僚達。

この追い詰められた状況の中でもジョン・スミスは、まだ多少の現実の世界の事を思う余裕があった。それもそうだ、ジョン・スミスはこの状況をナイトメアだと思っているのだから。

3時間位後その場を立ち去る事にした。震える足を両手で制御しなんとかその場に立ち上がる事が出来た。立ち上がった時、自分が失禁していなかった事に気付き驚いた。

洞窟内はおそらく外よりも寒いだろう、ヒヤヒヤ、スースーと寒いイメージしか起きない壁、どこから上の方から水がしたたり落ちて来ていて、さらに一層寒さを増す要因となっていた。洞窟の出口へと辿り着いた。左右確認し、あの怪物がいない事を確かめ外に足を踏み入れた。